かぁ~ちゃんを思う・・・後悔と言う大波

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一時退院許可をもらい、数日家へ戻ることができた。帰りの車内でかぁ~ちゃんはこう言った「なんだか近所から妊娠したと思われると恥ずかしいね」と。。。私はちょっと安心した。そんな事を考える余裕がまだあるんだなぁと。

以前の一時退院よりは寝ているか、座っていることが多くなったかぁ~ちゃん。お腹が苦しくて食事もお茶碗の半分も食べれなくなってしまった。それでも昼間ゴソゴソと何かをしている。何をしているかと思って覗いてみると、自分の洋服タンスの中を整理していた。きっちり綺麗に整理されていた。可愛がっていた猫のトイレや遊び場もだ。

かぁ~ちゃんの覚悟と強さを感じた。

その夕方、かぁ~ちゃんはとても寂しそうに私に言った「もうこの家には戻ってこれないなぁこれが最後だね・・・」って・・・

私は静かに泣いた。。。それを分かっていたから。。。

それほどかぁ~ちゃんのお腹は膨らんでいた。。。

その夜、私は珍しく料理をした。でもかぁ~ちゃんの口には合わなかった・・・ちょっとイラついた様子で「なんだよこれ、こんなの食べれないよ」と言われちゃった。ちょっとショックだったけど、笑ってごまかした。いつもなら「うるせぇなぁ~じゃ外で食べればいいじゃん」くらいは言っていただろう。でももちろんそんな事は言えず、へらへらと笑った。きっと調子が悪かったんだろう。だって前のかぁ~ちゃんはそんな事は言わない人だったから。

そしてまた職場でもある病院へと戻って行った。そのかぁ~ちゃんの背中は小さく丸かった。。。

私が病室にいた時の事だった。担当医に呼ばれ廊下でこう言われた「お母さんに付き添える?それをできるのは今しかできないよ」と。。。

私はかぁ~ちゃんがあの世へ行ってしまう日が近いんだと分かった。心臓が締め付けられるようで息をするのがきつかったぁ。

次の日、カネボウ化粧品本社へ行き休暇願を出した。会社も現状をとても理解してくれていて心よく許可してくれた。当時の課長に言われたことは今でも忘れない。

「思う存分側にいてやりなさい。気のすむまで。あなたが復帰してくるのを私たちはいつまでも待っています。心配しないでいってらっしゃ」と。。。事もあろうか本社で泣いてしまった私に車内の人たちは温かく見送ってくれた。私はこの会社に勤めたことを誇りに思う。

私は次の日から期限なしでかぁ~ちゃんのお世話をした。

すっかり寝たきりのかぁ~ちゃんに水を飲ませる。足を吹く。顔を吹く。小さい声だがまだ意思疎通ができた。

そんな事が出来たのもたったの数日。

じーが「今日、新しい薬を入れるけどその薬を入れたらほとんど意識はなく、話すことも、目を開けることもできなくなる」と言った。その時はちょっとキツイ薬なのかなぁとしか思っていなかった。今思えばそれって鎮痛剤だよね。痛みを和らげてあげることしかもうできなかったってことだよね。。そんな事もその時は知らず。。。

薬を入れる少し前、かぁ~ちゃんの目が少し開き私たちを見て両目から静かに涙を流した。その涙が耳まで落ちた時には意識は遠のいていたと思う。そこから動くことも、口を閉じることも、目を開けることも、指を動かすことも何もできない植物人間のようになってしまった。

それから私は毎日夕方までかぁ~ちゃんの病室へ通った。乾いた口を潤す、筋肉が硬直しないようにマッサージする、体を吹く、床ずれしないように少し姿勢を変えるとかね。足の皮膚が固くなっていたから擦ってあげた。爪を切ってあげた。顔の毛を処理してあげた。

いつも高額な化粧品を私から買ってくれ使っていたかぁ~ちゃんの肌はとても綺麗だった。

何をしても無反応なかぁ~ちゃん。もう涙すら流すことはない。聞こえているのか?聞こえていないのか?

ある日担当の看護婦さんが「反応はないけど、聞こえているから普通に話しかけてあげてね」と言った。嬉しかった。でもそんな事言われても何を話せばいいのか分からない。ちょっと恥ずかしさもある。でも小さい声で化粧品雑誌を読んだり、ダイビングの話をしたりしてみた。もちろん反応なし。

かぁ~ちゃんの看護婦仲間が休憩中に時々様子を見に来てくれる。とても心強かった。その人が職場でのかぁ~ちゃんの様子を話してくれた事があった。

「あなたのお母さんいつも話していたわよ。リエコはダイビングが好きでよく伊豆へ潜りに行ってるのよ。私ももう少し若ければ一緒にやりたかったわよ」と話していたと。。

私にダイビングを勧めてきたのはかぁ~ちゃんだった。いつか一緒に行こうよと言っていたこともあった。実現できなくなっちゃった。

とにかく自由に好きなことをさせてもらった。何も考えずにホント好き勝手に。。。親の事なんて何も考えていなかった。自分の事だけで突っ走ってた。今からでは遅すぎた。動かないかぁ~ちゃんに私ができる事って何よ。洗濯機、炊飯器の使い方すら分からないバカ娘が。。生活費なんてほとんど入れず、自分だけで使いたい放題のクソ娘が。。。

かぁ~ちゃんが元気な時はよく言ってた。

「毎日仕事の往復で家に帰れば、あんたと喧嘩ばっかり、何一つ面白いことなんてないわよ」って。

なんでだろうね。。。アホ過ぎだよ。。私。26歳の春、後悔と言う大波に飲まれ、今でもその大波から脱出することができない。こうなってからあがいたってもう遅いんだよ。。。

そして私の後悔はこれだけでは終わらなかった。。。

 

ブログっていいね。文章を書くことで自分の思いが見えてくる。

そういう時期だったのかなぁ~

2件のコメント

  1. かぁちゃん、クリソツ☝️てか、リエ子ちゃんがクリソツ🤩
    大変だったのに、微塵も感じないアナタは何者?
    父、亡くなっちゃったから既に遅しだけど、母大事にするよ…
    今、熱発中だけど…
    ありがとう🙏遠く離れた所で頑張ってるの読ませて頂いてます🤩

    1. 清美すわぁ〜ん❤️ありがとございます。熱中症になっちゃうくらい暑いって、ちょっと怖い😱バリ島も暑いけど、汗疹程度で終了ですよ😂お気をつけてくださいね👯🙏

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